【怪文書】偉い人によれば成人式には出た方がいいらしいね
一日遅れとなりますが、成人した皆さまおめでとうございます。
この記事を読んでる皆さまは成人式には出席しましたか?
出た方も出てない方もこの日を有意義に過ごせていたら幸いです。
そんなこんなでそういや僕の友人の兄の従弟の成人の日についてとあるエピソードがあったなぁと思いだしたので紹介したいと思います。
(多分いつも通りなんでこんなの書いたのかと後悔してすぐ消します)
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成人の日、二十歳の僕は成人式とその後の同窓会に出席しませんでした。
そのことに後悔がないと言えばうそになります。
多分僕は過去に戻れるとしたら”ポイントカード”を作っておくのかもしれません。
………
中学時代、僕には好きな人がいました。
でもその子には恋人がいました。
そいつは「いいやつ」を体現したかのような野球好きでまっすぐな僕の友達でした。
僕はその子とそいつと同じクラスになり、一緒に行動するようになりました。
進級してすぐの春のことでした。
そんなある日、僕はその子のことが好きであると明確に自覚してしまったのです。
ただその時の僕は二人が別れてほしいなどとは微塵も考えておらず、純粋に楽しそうな二人と一緒にいることが好きでした。
しかしそのような時期は長く続かず、結局二人は別れてしまいました。
夏休み明けのことです。
その子には他に好きな人ができてしまったのだとそいつから聞きました。
教室の窓際でそう語り、いつものように明るく振舞うそいつはやはりどこか悲しげで、僕はどのような感情でその話を聞いてよいのかが分かりませんでした。
そして、話の最後にそいつはこんなことを言いました。
「次はお前が幸せにしてやれよ?」
こんなあまりにもクサいセリフがそいつの口から出てきたときは、あまりにも現実味がなく耳を疑いました。
でも人生で一度聞くか聞かないかレベルの言葉の羅列は、今思えば彼の人間性をよく表していたと思います。
おそらく彼はお道化て少女漫画でも恥ずかしくなるようなそんな言葉を選んだのだと思います。
まるで何もなかったと伝えるかのように。
でもそんなふざけた言葉を紡ぐ彼の表情は哀しさで歪み切った”笑顔”でした。
僕はそいつの表情を今でも鮮明に覚えており、頭から離れることはありません。
そしてその瞬間僕の初恋は終わりを迎えました。
その後その子はある冬の日、新しくできた好きな人にこんなことを伝えたらしいです。
「私は今私が話してる人が好きだよ」と
そんなその子に対しその人はこう答えたとのことです。
「あぁそれって〇〇のことか 最近よく話してるよね」と
………
僕にとって当時の出来事はあまりにも衝撃的で、その時からこれまで誰かに対し特別な感情を向けることを意識的に避けるよう自分に言い聞かせてきました。
ただ僕のなかでは「俺は本気を出せば恋愛ができる側の人間なんだ」といったまるで中身の無い慢心に近い自我だけが育っており、それに気付いたときには誰からも相手にされなくなっていました。
しかしその自我も間違いなく僕の一部です。
そのため僕は今更開き直って恋愛に本気を出したいと思えないのです。
なぜならもしそのようなことをすれば、あの日から今まで十年に近い間の自分を真っ向から否定するような気がしてしまうからです。
仮にあの時一歩を踏み出していたら…そう考える日も少なくありません。
………
話は大きく変わりますが、かまいたちのネタにこのようなものがあります。
「タイムマシンに乗って過去に戻れるとしたら何をやり直すか」といったものです。
これに対し山内が
「最初に『ポイントカード作りますか?』と聞かれた時に戻ってその時にカードを作っておく。」
と答えます。
これについて彼は
「もし“今”の時点でカードを作ってしまったら、“最初に聞かれた”時点から“今”までに溜まるはずだったポイントが無駄になってしまう。でもこれからもカードを作らなければ、作らない側の人間になるからこのことで損になることはない。」
と説明しています。
成人式の日を思い浮かべ、僕はこんなふざけたネタを想起しました。
………
あの日の僕は、正直成人式の後の同窓会に出席するか迷っていました。
自意識過剰ですが、また何かが始まりそうな気がして怖いのです。
そんな時友人からある連絡が来ました。
「“その子“が久しぶりにお前と会いたいって言ってる」
…
多分僕は過去に戻れるとしたらポイントカードを作ることを望みます。
了